ノニーノ社は1897年にオラツィオ・ノニーノが創業。1973年に創設者のひ孫であるベニート・ノニーノと妻のジャンノーラが、品質の優れた単一品種のヴィナッチャ(ブドウの搾り滓)を伝統的単式蒸留器で蒸留し、香り高い高品質なグラッパを美しい瓶に詰めて発売しました。これは後に『グラッパ革命』と呼ばれる革新的な出来事で、現在のグラッパのイメージを形づくるものとなったのです。
ベニートはヴィナッチャの品質にこだわります。1?2日でもワイナリーに搾り滓が置いたままだった場合、それを搬入してきた際に長年の経験ですぐにわかるので、ワイナリーに返品します。 それをずっと続けてきたからこそ、常にフレッシュでいい原料を使うことができるのです。
ノニーノ社のイタリアの蒸留酒の世界で起こした2つ目の革新的な出来事は、1984年、ブドウ果汁を果皮や種も混ざった状態のまま蒸留するという製法で造った蒸留酒アクアヴィーテを発売したことです。このアクアヴィーテは"ウエ"と呼ばれ、"ウエ"はフリウリの方言で"ブドウ(UVE)"を意味し、搾り滓だけでなくブドウを丸ごと使うことから名付けられました。 当時は、搾り滓ではなくブドウそのものを丸々使うのはもったいないと考える他の蒸留酒メーカーからは理解されず、ノニーノ社が単独で申請してイタリア政府にアクアヴィーテの製造と販売の許可をもらっていました。販売当初は1985年12月までの期限付きで許可されたアクアヴィーテの製造・販売は、"ウエ"シリーズの品質が認められて許可の期限が1989年まで延長され、次第に真似をして造り始めるメーカーも出てきました。こうしてアクアヴィーテの地位が確立し、それ以降も半永久的に政府から認められ、現在ではイタリアの蒸留酒としてグラッパ同様に広く親しまれています。