 |  ロバート・パーカー氏はシャトー・ボー・ソレイユについて、 ボー・ソレイユは健全なつくりのポムロールである。一般的に豊潤さと果実味があり、兄弟分のラ・クロワ・デュ・カセほどの知名度はないが、価格も低く抑えられている限り、同じくらいよいワインである。 | |  |  最近注目のポムロールとして必ず名前があがるのが、このふたつのシャトー、ラ・クロワ・デュ・カスと、ボー・ソレイユである。オーナーは同じアルコート家。前者は85年から、後者は95年から所有している。シャトー・クリネを再生させたジャン・ミッシェル・アルコートがワインメーカーであり、醸造所も同じ建物を共有し、また畑も隣接している。違いはラ・クロワ・デュ・カスの作付け面積はM70%、CF30%であり、ボー・ソレイユはM95%、CS5%というぐらいだ。
しかしワインの印象は確かに違い、ボー・ソレイユのほうがキメが細かく、エレガントであり、ラ・クロワ・デュ・カスは土の風味が強い。価格はボー・ソレイユのほうがほんの少し高いが、それは「生産量が少ないから、そのぶん」というだけで、異なるプライスポイントに仕立てた商品ではない。
両者ともポムロールのなかでも相当南の平地に位置する、砂利土壌の畑。ここでは普通はそれほどいいワインはできない、というのが定説だ。色も薄く、単純で、滑らかではあるが凝縮に欠ける早飲みワインが典型的という土壌なのである。
しかしこのふたつのワインはそんな不利な条件から生まれたとは到底思えないほど、しっかりした強さと深みがある。アルコート氏は「偉大なテロワールからは素晴らしいワインがひとりでにできる」と言うが、確かにクリネには当てはまってもこのふたつのシャトーがそれほど「偉大なテロワール」とは見受けられない。それに関しては「そうは言ってもやっぱりポムロールには違いないのだから」とも言うが、やはり「非常に努力しなければならない」ようだ。
ある意味、このふたつは技術のワインなのかもしれない。しかしこの畑の条件でよくもこれだけの結果を出せるものだ、と、改めてアルコート氏とローラン氏の力量に敬服するし、同時にポムロールのテロワールが備える能力に感心してしまう。 | | |  | ■ブドウ品種:メルロ95%、カベルネ ・ソーヴィニョン5% ■栽培面積:3.0ha ■平均樹齢:35年 ■熟成:発酵とマセレーションは温度管理された小容量のステンレス槽で2~3週間。熟成は新樽で24ヵ月。清澄も濾過もしない。 | | |