 |  ミシェル・ロラン氏はシャトー・ル・パンをシンデレラワインに仕立て上げ、さらに世界中の落ちぶれた数多くのワイナリーを復興させたワインメーカーの中でも世界的に有名な人物。 | |  |  ボルドー市の中心部から北東へ20数キロ、ドルドーニュ川右岸に位置するフロンサックとカノン=フロンサックは、19世紀には良質なワインの産地として知られていた。しかし、20世紀に入って近隣のポムロルやサン=テミリオンが脚光を浴びるに及ぶや、すっかり影が薄くなり、忘れられた存在となってしまった。
再び勢いを取り戻し始めたのは、1980年代に入ってからである。のどかな田園風景が広がる景勝の地フロンサックでは、今、ワインづくりの革命が進みつつある。その担い手は、2人の傑出した醸造家、ミシェル・ロランとパトリック・レオン。ミシェル・ロランは、ポムロルで自らシャトー(ボン・パストゥール)を経営する傍らボルドーの著名なシャトーのコンサルタントをいくつも務めている。さらにイタリアのオルネッライアやチリのカサ・ラポステリェ、カリフォルニアの至宝ハーラン・エステートの顧問に迎えられるなど、世界的にもその実力を高く評価されている。
ミシェル・ロランがフロンサックの地にシャトー・フォントニルを得て移り住み、ワインを生産し始めたのが1985年、パトリック・レオンがシャトー・レ・トロワ・クロワでワイン生産を始めたのは、1995年のことである。
フロンサックの主要品種はメルロである。この品種は、ふつうはタンニンをあまり感じない、柔らかいワインに仕上がる。しかし、フロンサックは砂の多い土壌なので、砂利質土壌のメドックに似て、ワインもタンニンを強く感じる特性を示す。ミシェル・ロランは、この強いタンニンを抑えて少しずつ新樽の割合を増やし、柔らかいワインをつくろうとしている。一方のパトリック・レオンは、強いタンニンをうまく生かしながら良質なワインに仕立てようとしている。どちらがより良いワインを生み出せるかはまだ誰にもわからないが、2人はこうして友人同士でありながらも、フロンサックの地で愉しく腕を競い合っているのである。
 2人が目指しているのはペトリュスのような完璧なワイン。しかし、ジャン=ピエール・ムエックスが完璧な1961年のペトリュスを生み出すまでに40年の年月を費やしたように、いかに名人といえども、それは生易しいことではない。しかも、完璧なワインがその真価を発揮するには20~30年、時には40年以上もかかる。我々は2人に約束している。夢が実現するまでワインを買い続けましょうと。彼らのワインは、すでに秀逸なレベルに達している。それらは、10~20年後には、もしかしたら陶然とするほどのワインになっているかもしれない。その行く末を見守っていくのも、ワインを飲む愉しみのひとつである。 | | |  |  | ロバート・パーカー氏は1996年のボルドーワインについて、「カベルネソーヴィニヨンベースのワインにとっては偉大なヴィンテージ!グラーヴには見事なものが多い。」★★★★四ツ星高評価! | |  | 「この数年間でミシェルとダニー・ロランはシャトー・フォントニルをフロンサックのトップレベルにまで引き上げた。 栽培も丁寧に行われているが、リブルヌ地区のスター醸造家が手掛けるだけに他のシャトーよりも優れているのは、むしろ醸造と熟成である。 | | |