 |  最上のボルドーワインからは上流階級の女性が備えている育ちの良さや物腰の優雅さがにじみ出る。溢れる果実味、継ぎ目のないタンニンときれいな酸、黄金律に縁取られた液体の宝石には古今東西の世界の著名人に愛されてきた栄光と歴史の物語が宿っている。我々の五感のみならず知的な興奮もかりたててくれる最高のボルドーワインを一度も口にすることなく死んだら必ず後悔するだろう。ワインが「ボルドーに始まりボルドーに終わる。」と言われる所以はそこにある。 | |  |  ボルドーには世界に名だたる醸造家が顔を揃える。ミッシェル・ロラン、ドゥニ・デュブルデュー、ステファン・デュルノンクール・・・。しかし表舞台には登場しないが、ジャックとエリックのボワスノ親子以上にメドックの超一流シャトーに絶大な影響力を与えている醸造家はいない。なぜなら、彼らはムートンを除く全ての一級シャトー、コス、ラスカーズ、パルメ、ピション・ラランドといったスーパー・セカンズのほぼ全てと、メドックの格付けシャトーの実に6割のコンサルタントを一手に手掛けているからだ。事実、ボワスノは「メドックにある葡萄畑の全ての列を把握している」と言われており、フレデリック・アンジェラやジャン=ギョーム・プラッツ、ポール・ポンタリエといった実力者からは、尊敬を込めて「メドックの守護神」と呼ばれている。 | |  |  故エミール・ペイノーの右腕として1963年にシャトー・ラトゥールでコンサルタントを始めたのを皮切りに45年以上に亘り活躍を続けるボワスノは、1960年代からのワインの味わいを全て覚えているという。時代や経済状況に応じてシャトーのオーナーは代わる。経営方針も変化する。消費者の嗜好も変わる。しかし、ボワスノの舌に宿るテロワールの記憶は存在し続ける。イタリア、チリ、カリフォルニア、オーストラリアでも仕事をし、世界の潮流も知っている。最高の土地と人材に恵まれながらも、さらに完璧を期す。ボワスノこそが超一流ボルドーワインの伝統の厚みを影で支えている男なのである。 | | |  | シャトー・レ・ヴィミエール 2005年 ジャック・ボワスノ ジャック・ボワスノが所有・居住するラマルク村にあるシャトー。超一流シャトーのコンサルタントを務める彼の醸造研究所も併設されたこのシャトーは、ボルドー左岸の聖地であり情報集積地。 シャトー・レ・ヴィミエールの名前は、昔から呼びならわされている通称名(リュー・ディ)です。 Vimieresヴィミエールとは、葡萄樹を支柱に結びつけるために使っていた潅木の名前に由来しています。つまり、昔、そこには潅木が茂っていたのです。Tronqueraトロンケラとは、古代に葡萄が栽培されていた場所を意味しています。この2つの言葉は、地元の方言もしくはオック語に起源があります。 ステンレスタンクでアルコール発酵を行った後、マセレーションをして圧搾。その後、アリエ産のバリックに移しマロラクティック発酵と熟成。新樽比率30%。熟成期間18ヶ月熟成。バリックはタランソー、ナダリエ、ソーリの3つの樽会社のものを併用。 | | |