シャトー・ジュン・新酒・アジロンダック[2023]年・ヌーボー・山梨県産・アジロンダック種100%使用・日本ワイン・ヌーヴォー・赤・甘口・10.5%(明治から100年続く、幻の品種アジロンダック種100%のワイン)
山梨・甲府盆地。甲州市勝沼町を中心としたこの地でシャトージュンのワインとなるブドウが育てられています。甲府盆地は、約300mという比較的高い平均標高にあり、昼夜、そして季節ごとの寒暖差が大きいという気候。なかでも、勝沼は水はけのよい扇状地で、江戸時代からブドウ栽培に適した土地として知られてきました。すでに、いまから約130年前にはワイン造りをはじめた、国産ワインの起源といえる土地。そんな場所で、シャトージュンのワインになるブドウは育っています。
シャトージュンは現在、勝沼町の3箇所を中心に自社畑での栽培、および契約農家による栽培がなされたブドウを使ったワイン造りをしています。場所により違いはありますが比較的水はけのよい砂まじりの土壌で、樹齢は10年というのが栽培地の平均的な状況です。栽培しているおもな品種はカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロのほか、白では世界中で栽培されているシャルドネや日本固有の品種にして近年そのポテンシャルの高さが注目されている甲州。また少し離れた北杜市白州町において世界最高の貴腐ワインとの誉れ高いCh.ディケムにも用いられるセミヨン種も栽培しています。特に、シャルドネや甲州の品質については、「ジャパンワインコンペティション」にて8年連続で入賞するなど高く評価されています。
シャトージュンの仁林は「私の考える理想的なワインとは、正直なワインです」と語ります。醸造担当がするべき仕事は、ブドウという素材から出てくる味をどう表現するかということ。ワインの品質を向上させる技術は用いても、もとのブドウの個性を無視して、無理に濃い味のワインを造ることを良しとはしません。だから、仁林の造るシャトージュンのワインは、決して濃いものではありません。パワフルさを追い求めるのではなく、エレガントな雰囲気を醸し出したい。そして、いくら飲んでも、飲み飽きないものにしたいというのです。決してフルボディなワインだけが良いわけではなく、日本のワインには他の国のワインにはない「滋味」があります。まるで、昆布や鰹のダシを感じさせるような、じんわりと体に染み渡るような味わい。それゆえ、日本料理にも合うし、近年、乳製品やオイルを控えるというスタイルが主流のフランス料理にさえマリアージュしてくれます。
シャトージュンのワインになるブドウはおもに、白ワイン用の甲州、セミヨン、シャルドネ。赤ワイン用のメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンがあります。 日本固有の品種である甲州は、酸味が抜けにくいのが特徴。実はシルクロードを通って日本にやって来た欧州起源の品種でワイン造りに向いています。シャトージュンで造る甲州は日本酒に近い、ちょっと甘さを感じさせ、酸味が柔らかなもの。香りは華やかで、吟醸酒のようなニュアンスがあり、最後まで飲み飽きないということを意識しています。和食のなかでも昆布や鰹のダシ、わさびなどと相性がいいものです。
そして、シャルドネ。土壌・気候への適応性が高く、造り手の考えや飲む人の好みに応じて、さまざまな味わいとなります。シャトージュンでは、桃やメロンのニュアンス、杏のようなイメージの香りに、ハーブのニュアンスが入ってくるものを心がけています。赤のカベルネ・ソーヴィニヨンは、ならではの濃い色こそ出にくいものの、味わい深く、しっかりとした酸があります。メルロは、毎日飲めるような嫌味のない味に仕上げています。乾燥したスパイスや煮詰めた果実のコンポートなどのニュアンスが感じられるでしょう。