アーリータイムズの蒸溜所は、ケンタッキー州アーリータイムズ村で創業し、その後、同州のルイヴィルに移転。1870年以降に多くの蒸溜所が集まった場所として有名な街です。蒸溜所があるのは、中心部から少し東南に位置する静かな場所。まるで開拓時代にタイムスリップしたようなレンガ造りの外観は、その歴史の深さを感じさせます。しかし一歩中に入ると、12基もの巨大な発酵槽が設置され、最新の機材が導入された現代の蒸溜所。ここでアーリータムズの原料であるトウモロコシと、ライ麦、大麦モルトがライムストーンの水で糖化され、イースト菌による発酵の後、連続式蒸溜器でていねいに蒸溜されていきます。 アーリータイムズは、熟成するための樽も自社製。ルイヴィル空港にほど近いブラウン・フォーマン・クーパレッジ社の樽工場で、アメリカンホワイトオークの新樽がていねいに造られます。ブラウン・フォーマン・クーパレッジ社は、アーリータイムズ同様、ブラウンフォーマン社が経営する会社。味わいにコクと香りを与えるために、新樽の内側を焦がす工程をチャーと言いますが、その度合いをきめ細やかな調整できるのが強み。最良の熟成ができるよう、日々、研究が重ねられています。 アーリータイムズの貯蔵庫(ウエアハウス)は、クラシカルなレンガ造り。最も古い4棟は、1935年に建てられた歴史ある建物です。貯蔵庫2棟を合わせたダブルウエアハウスと呼ばれる造りで、棟と棟の境目にはファイアーウォールという鉄製の仕切りが置かれ、火災から原酒を守っています。7階建ての貯蔵庫では、万一の災害に備え、同じ年の原酒は各棟、各階に分散して熟成させています。この貯蔵庫で、蒸溜したての原酒は自社製の新樽でじっくりと寝かされ、まろやかなバーボンウイスキーへと生まれ変わるのです。 |