故フィリップ・ロートシルト男爵が独自につくり上げた場所であり、ワインである。
21歳でこのシャトーを得たとき、彼が並々ならぬ野心を抱いたのは疑いないことだ。 しかし、豊かで著しく深みのあるエキゾチックなスタイルのポイヤックの生産によって、彼は「1855年のメドックのワインの格付けを変えさせた、唯一の男」になったのである。
男爵は1988年1月に死去。今はその娘フィリピンヌがこのワイン造りの帝国の精神的頂点にいる。彼女は常に、パトリック・レオン率いる有能なムートン・チームの頼もしい協力を得てきた。 1973年、ムートン=ロートシルトは公式に『一級シャトー』と格付けされる。こうして、異才の男爵は、彼の挑戦的ワインのラベルの言葉を、『一級にはなれないが、二級の名には甘んじられぬ、余はムートンなり』から、「余は一級であり、かつては二級であったムートンは不変なり」と変えた訳である。
疑問の余地なく、私が飲んだボルドーの最もすばらしい瓶のいくつかはムートンだ。
なぜこのワインが商業的に成功したか、理由はいろいろある。まず、ムートンのラベルが収集の対象であること。1945年以来、フィリップ・ロートシルト男爵は、画家に年に一枚、絵の作成を依頼し、それがラベルを飾った。ムートン=ロートシルトのラベルに登場する大家にはこと欠かなかった。ヨーロッパからミロ、ピカソ、シャガールにコクトー、アメリカ人ではウォーホル、マザーウェル、そして1982年にはジョン・ヒューストン。
次に、すばらしいヴィンテージにおけるムートンのふくよかさが、ラフィット=ロートシルトの厳しい優雅さと、そして濃密で逞しく力強く、タンニンのきいたラトゥールと、かなり違ったスタイルを持つこと。
三番目には、申し分なく維持されたシャトー自体が、その一流のワイン博物館とともに、メドックの(そして多分全ボルドー地域でも)最高の観光地であること。最後に男爵自身、彼が自らのワインのみならず、ボルドーのすべてのワインを普及させるために尽力したということがある。彼の娘フィリピンヌも、父の遺産を十二分に存続させる力がありそうだ。 (ロバート・パーカー) | | | ヒュー・ジョンソン氏は、「公式に第1級格付として認められたのは1973年だが、実質的にはずっと以前からそうだった。王者らしい豊潤さをもつ、多くの場合メドックで最も豊麗なワインになりうる。1991年からは白のエル・ダルジャン Alie d'Argent(銀の翼の意)も産している。」として満点評価の★★★★4つ星! | | | 現当主のフィリッピーヌさんが子供の頃、父親のフィリップさんが毎晩語って聞かせたおとぎ話の題名が“エル・ダルジャン”でした。このお話は戦時中に作られ、その後出版されたそうです。昔、夢を見させてくれたおとぎ話は、今は色と形があるものとして生まれ変わりました。夢の世界が夢のワインに・・・ ※ドメーヌ・ド・ムートン・ロートシルトで造られていますが、メドックでつくられている白はすべてAOCボルドーの表記になります。 | | |  | エール・ダルジャン ブラン 2006年 メドックの第1級シャトーのひとつ、ムートン・ロートシルトがつくっている白ワイン。 近年のメドックの流行に逆らってセミヨン種の比率が高く、まろやかで練り上げたような果実味が特徴!樽香も力強く、長い熟成により真価を発揮するタイプです。 | |  |  | This is a strong vintage for Bordeaux's dry white wines,probably as good or better than 2005. Crisp acidity combined with outstanding concentration and the fact that most of the white grapes were harvested before the rains began in mid-September resulted in an impressive group of wines. - Wine Advocate #170 (2007-04-30) | | |